FURUNO MIRAI PULSE

20255.15

フルノの英雄たちの物語と、若者へ伝えたいこと

漁業大国ノルウェー、ここでフルノの漁業向け製品やサービスをトップレベルに押し上げた立役者ともいえるレジェンドを紹介する。
ロガー·サトレといえば、ノルウェーはもとより、近隣国の大型漁船オーナー、スキッパーの中でもよく知られている。フルノの社員でありながらも競合メーカーのオーナーから相談依頼が来るほどの人物。
どのようにサトレがこれほどの信頼を勝ち取ったのか。ここにレジェンドたる所以が隠れている。サトレという人物を数々の取材から紐解いていきたい。

努力に裏打ちされた技術でフルノの一時代を支える

サトレは、ノルウェー·オーレスン南部の港町で漁師に囲まれて育った。学生時代に無線機器の設備と技術に強い関心を持ち、空軍入隊後に無線関連技術を学ぶ。退役後、舶用機器メーカーのディーラーに入社。一貫したカスタマーファーストで数々のスキッパーから信頼を得ていたことで、フルノノルウェーの前身会社社長が何度かラブコールを送った。

18歳からノルウェー空軍に在籍した約4年の間に、
無線技術など航空機の電子機器について学んだ

サトレは、当時扱っていた競合メーカーの製品故障やサポートに改善の余地があると考え、徐々にフルノ製品に魅力を感じ始めていた。顧客視点で考えた場合フルノ製品の方が適していると思い、フルノノルウェー創設の数年後、1982年に入社した。
徹底したカスタマーファーストの精神で仕事に臨み、ときとしてサービスや開発にも提案をした、それは、サトレが日頃から顧客により良い製品を提供するために、様々なデータを記録し、業務終了後も自宅で一人研究に勤しんだ姿勢があったからこそである。サトレはこう振り返る。

フルノには、好きなことができる自由があります。やりたいことを実現できる職場です。
ソナーや魚探の研究をしたり、漁業船に乗り込んで電子機器の操作方法を見て学んだり、
顧客と話し合いながらアイデアを得ることができたのは、有意義な時間でした。

80歳を超えたいまでも、
自宅に設置した機器の前で勉強や研究を続ける日々

サトレが長い努力の末に得た高い技術力を証明する話がある。あるとき、スキャニングソナーを装備したノルウェー漁船で、ソナー映像の表示に不具合が発生した。本来なら本社に支援依頼をするほどの事態だったが時間がない。
サトレは単独で船に乗り込み徹夜で作業。海底からの強い反射信号による影響であると考え、メニューの設定を工夫して対応した。日頃から機器を習熟し、継続して機器の特性を現場で確認したからこそ成し得たことだった。欧州各地でソナーの不具合が発生するたびに、国を超えてグループ会社の技術員に自身のノウハウを伝え、多くのトラブルを解消してきた。グループ会社の技術員からも絶大な信頼を得るとともに、当社ソナーをはじめとする漁労機器の評価向上に大きな貢献を果たした。古くは黎明期からのソナーの市場導入、普及、そして確固たる評価の確立が達成できたのは、サトレの継続したサポートがあってのことだといえる。

現場とお客様、両方の声をフルノに届け続けた

あるとき、競合が球形ソナーを発表した。360度の視野で自船直下も見ることができ、死角ゼロとなる球形センサーとして話題となった。
フルノも対抗すべく、石原現取締役CTOが、医療機器開発で培った高度な超音波技術や信号処理技術を生かした、遠距離探知性能で対抗できるソナー開発をチームとともに挑んだ。全周型低周波スキャニングソナーFSV-24である。遠距離探知性能は従来の1.5倍の6000mを実現。

写真(右)は2000年初め、低周波ソナーFSV-24を船上(ZETA)
で実証実験していたときの様子。
「サトレはZETAの船員より多く乗船している!」と、
スキッパー談
(写真左からZETAのスキッパー、浅海(現 DX推進部次長)、
石原、サトレ)
写真(上)は2000年初め、低周波ソナーFSV-24を船上(ZETA)で実証実験していたときの様子。
「サトレはZETAの船員より多く乗船している!」と、スキッパー談
(写真左からZETAのスキッパー、浅海(現 DX推進部次長)、石原、サトレ)

さらに、今も採用され続けるオートフィルターによる信号処理技術によって、遠距離探知の課題でもあったノイズ除去を実現。当時話題だった競合メーカーのソナー性能を上回りFSV-24は大ヒット。この背景には、フルノと顧客をつなぐサトレの功績が大きかったと、開発関係者の多くがロを揃える。開発を急ピッチで進めるため、本社開発部の担当者数名がノルウェーに乗り込むという異例措置がとられた。
サトレは徹底的に見やすさや使いやすさを追求し、最適なエコー表示を出すまで食い下がって妥協しなかった。設計が既に始まった段階で、サトレは「顧客にとってこの表示画面は使いにくい」、と画面レイアウトの変更を強く求めた。
石原は「販売開始が2カ月遅れる。急を要する状況でも要望するのか」と反論すると、「変更すべきだ」と、絶対的な自信で訴えてきたという。この自信の背景には、常に現場優先のサトレとスキッパーたちとの親密な関係性があった。
矮松常務執行役員は、「フルノ内でサトレほど顧客の船に乗った人はいないのでは」と評する。
サトレは、装備されているソナーが最大限の能力を発揮できる方法や顧客の求める本質にいち早く気づいた。そして、より多くのスキッパーに寄り添いサポートを続けた。だからこそ、少々の機器トラブルがあっても顧客はフルノから離れない。

写真(左)は2002年1月、カラースキャニングソナーFSV-30の
実証実験でZETA乗船時の様子。
ここで得た技術は現在も生かされている。
(写真左から、ZETAスキッパー、サトレ、西森(現 フェロー))
写真(上)は2002年1月、カラースキャニングソナーFSV-30の実証実験でZETA乗船時の様子。
ここで得た技術は現在も生かされている。
(写真左から、ZETAスキッパー、サトレ、西森(現 フェロー))

石原はサトレをこう評価する。「顧客だけの意見に左右されるのではなく、様々な情報を咀嚼した上で、こうすべきだと自らの考えを持って、理論的かつ分かりやすく話をする。顧客と技術、両方をより深く理解していないとできないことだ」。サトレがあらゆる技術者から絶対的な信頼を得ている理由の一つだろう。

写真(右)は2002年6月、フルノノルウェーのオフィスで打合せをしている様子。
長年の付き合いでもある奥西(現 主席研究員)は、2016年にも3Dソナー開発時にサトレへ協力を依頼している。
「操作メニューや画像表示など、顧客目線に基づくサトレのアイデアを多く採用した。
魚群を立体的にとらえる、3Dソナービジュアライザー F3D-Sの誕生に一翼を担ったことも含め、当社ソナーの普及に大きく貢献した人だ」と奥西は感謝の意を述べる。
(写真左から:奥西、サトレ、当時のサトレの愛犬Herman)
写真(上)は2002年6月、フルノノルウェーのオフィスで打合せをしている様子。
長年の付き合いでもある奥西(現 主席研究員)は、2016年にも3Dソナー開発時にサトレへ協力を依頼している。
「操作メニューや画像表示など、顧客目線に基づくサトレのアイデアを多く採用した。魚群を立体的にとらえる、3Dソナービジュアライザー F3D-Sの誕生に一翼を担ったことも含め、当社ソナーの普及に大きく貢献した人だ」と奥西は感謝の意を述べる。
(写真左から:奥西、サトレ、当時のサトレの愛犬Herman)
2016年Furuno Global Fishing Meetingを開催した際、フルノへの功績を称えてサトレを本社に招待(写真前列中央 右から5番目がサトレ)

これからの世代へ
伝えたいこと

お客様に対して「誠実」であること。競合他社の欠点を述べて当社の優位性を述べても、顧客は振り向いてくれない。新人時代顧客の船でサービス対応をしていると、顧客のもとに競合の営業が来て、そのように話しているのを何度か耳にした。顧客はむしろ拒否反応を示していた。顧客が選んだ製品はリスペクトすべきだ。私は競合の優位性はしっかり認め、それを顧客に述べることも多かった。
だからこそ顧客は自分を信頼してくれたのだと思う。私はその信頼を裏切りたくないし、フルノの社員のみなさんにも裏切ってほしくない。結果的に顧客の信頼につながると思う。これが私からのメッセージである。

Engagement
~未来を共に創りましょう~

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