REPORT取り組みレポート

山口県防府市

藻場造成の効果検証と
藻場再生に向けたモニタリング

旭タンカー株式会社および山口県漁協協同組合吉佐統括支店と連携し、持続可能な里海の形成を目的とした取り組みを開始しました。

実施日
2025年4月~事前実験開始、
2026年5月~漁船装備による実証開始
場所
山口県防府市 野島周辺海域
パートナー
旭タンカー株式会社、
ほうふ里海づくり協議会

取り組みの背景

瀬戸内海では近年、海水温の上昇に伴う生態系の変化が進んでいます。特に、藻類を食べる魚であるアイゴの増加により、海藻が失われる「磯焼け」が深刻な課題となっています。その結果、藻場の減少による生物多様性の低下や水産資源への影響が懸念されています。

こうした海洋環境の変化を的確に把握し、効果的な保全対策につなげるため、海の状況を継続的に可視化・定量化するモニタリング活動を開始しました。

取り組み内容

旭タンカーは、藻場保全への貢献を目的としてFURUNOの魚群探知機を導入し、藻場モニタリング機器として山口県漁業協同組合(吉佐統括支店)の漁業者へ提供します。漁業者は日常の操業活動に加え、藻場が分布する海域を航行することで、操業と両立した継続的なモニタリングを実施します。日々海と向き合う漁業者ならではの知見と観測機会を活用することで、持続可能な観測体制を構築します。

観測から見えてきたこと

防府市南東部に位置する野島周辺を一周航行し、魚群探知機を用いてデータを取得しました。観測の結果、まず島周辺における藻場の分布状況を可視化することができました。さらに、魚探で同時に取得できる水深、底質、藻場の高さなどのデータを組み合わせて分析することで、島周辺の海域特性の把握が可能となりました。
今後はこれらのデータを活用し、藻場が形成されやすい環境条件を明らかにするとともに、藻場造成や保全活動の効果的な実施につなげていきます。

現場の声

神内さん

旭タンカー 国内事業第二部 瀬戸内エリアマネージャー 神内 悠里

2022年からスタートした防府での藻場造成・モニタリングの実証ですが、日々変化する気象条件や海洋環境の中、データ分析にこれまでとても苦労してきました。今回の魚探によるデータ収集および分析で、藻場造成・拡張の可能性の向上に期待しております。

栗林さん

山口県漁業協同組合 吉佐統括支店 運営委員 栗林 昭博

今回の取り組みの結果として、海草が増えることで魚の産卵場所が広がり、多くの魚が集まる豊かな海へとつながっていくことを期待しています。海の環境が少しずつ良くなり、その変化を実感できることは日々海と向き合う私たち漁師にとって何よりの喜びです。この取り組みが将来にわたって安定した漁業の実現や、次の世代へと豊かな海を引き継いでいくことにも結びつくと感じています。
私自身も船を走らせながらデータを収集することで、ブルーカーボン創出や海洋環境の改善に向けた取り組みに少しでも貢献できれば嬉しく思います。

藤本さん

古野電気担当者 DX推進部 海運DX課 プロジェクトリーダー 藤本 倫子

防府市周辺海域は、当社が初めて魚群探知機を活用した藻場観測実験に取り組んだフィールドです。当初は「漁業で使用する魚探で海藻を捉えることができるのか」という検証段階からスタートしましたが、皆さまのご協力のもと観測を重ね、2026年からは漁船を活用した実証フェーズへと進むことができました。
今後も、皆さまと連携しながら海のデータを継続的に取得・分析することで、瀬戸内海の環境変化をより正確に把握していきたいと考えています。また、当社の技術を活用し、藻場の保全やブルーカーボンの創出を通じて、瀬戸内海の豊かな海を次世代へつなぐ取り組みに貢献していきたいと思います。

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