FURUNO MIRAI PULSE

20264.24

新たな可能性を事業へと導くビジネスラボ。
営業と開発、経営をつなぐ橋渡し役を担う3人が、発足の経緯と今後の挑戦を語ります。

ビジネスラボは、新規事業を社内から立ち上げ、成長させていくことを目的に、2024年7月1日に設立された新しい組織です。設立当初から立ち上げに関わる本川さん、2025年から参画した植村さん、そして自ら研究開発した技術を事業化へと導き、現在もビジネスラボの育成事業として挑戦を続ける石野さん。そんな3人に、ビジネスラボが担う役割と、その存在意義について話を聞きました。

石野さん、植村さん、本川さん

(左)技術研究所 ビジネスラボ 主任研究員 建設DX 事業責任者 石野 祥太郎さん

(中)技術研究所 ビジネスラボ 室長 植村 峰行さん

(右)技術研究所 ビジネスラボ 本川 勝徳さん

数々の技術を新規事業につなげるために

──ビジネスラボが立ち上がった経緯を教えてください。

本川さん:現在フルノでは、新規事業をより一層活性化させ、将来の成長の柱へと育てていくことを目指しています。その実現に向けて、新規事業をより活性化させる必要がありました。ただ、新規事業をつくりだすのは簡単ではありません。思うように立ち上がらない状況もあり、半年から1年ほどかけて検討を重ねた結果、技術やアイデアを事業へとつなぐ専門組織としてビジネスラボを立ち上げることになりました。

研究者の頭の中には、さまざまなアイデアや研究成果があります。しかし、それらが必ずしもビジネスにつながるとは限りません。技術と市場、社内外をつなぐ役割を担い、経営層への説明や外部への発信も含めて橋渡しを行う。それがビジネスラボの基本的な役割です。

ビジネスラボが担う「つなぐ」役割。技術を事業へつなぐ/社内外をつなぐ

──アイデアや技術はあっても、なかなか事業につなげるのは難しいのですね。

植村さん:そうですね。募集を始めてからこれまでに、アイデアだけであれば150件以上は出ていると思います。ただ、その内容にはさまざまなレベルがあります。事業として具体的に進められているものは、まだ多くはありません。

そこで、ビジネスラボが伴走します。アイデアに可能性があると判断できれば、経営層から予算を確保し、試作機の開発や顧客インタビューを行います。そのプロセスを通じて、新規事業として取り組む価値があるのかを見極め、フェーズを一段ずつ上げていきます。

新規事業は成功確率が高いとは言えません。あえて難しい挑戦を選ぶことになります。ただ、事業が一つに集中していることをリスクと捉えるのであれば、次の収益の柱を育てる必要があります。そこに挑戦する意義があると考えています。

本川さん:フルノの原点を振り返ると、魚群探知機をまだ導入していない漁業市場に試作品を持ち込み、船の上で厳しい意見を受けながら改良を重ねてきた歴史があります。いわば現場で鍛えられながら事業を育ててきました。そのDNAを受け継いで、同じように新規事業に挑戦しようとしている研究者や社員が社内にはたくさんいます。

技術や事業が花開くかどうかは、タイミングや業界の状況など、さまざまな環境要因にも左右されますが、それを見極め、挑戦を支援する道はいろいろあると考えています。

──石野さんは、ビジネスラボができる前から、開発から事業化までをほぼ一人で進めてこられたのですよね。

石野さん:そうですね。私は顧客を自分で探しながら、基礎研究と並行して社会実装にも取り組んできました。約5年間の技術開発を経て、アンテナの成果物を携えて顧客開拓を進める中で、建設業界との接点が生まれました。そこから建設業界のDXに貢献する新規事業を立ち上げ、さらに5年ほど取り組んでいます。技術開発5年、製品開発5年、事業開発5年という感覚でしょうか。現在も研究を続けながら、営業活動や市場開拓も自ら行っています。

本川さん:石野さんの「ウェーブガイドLAN」はすでに事業化されていますし、現在進行中の「現場DX」プロジェクトは、ビジネスラボの「育成事業」として動き出しています。石野さんの場合、私たちはサポートをするというか、応援する立場ですね。

植村さん:これまでのフルノでは、石野さんのようにアイデアを持った人が強い熱意で突き進み、経営層にプレゼンして予算がつく、という形が多かったと思います。ただひとりだけで突破するのは大変なので、新規事業が継続的に生まれ、成長していくための制度や支援体制、文化を整えていくこともビジネスラボの使命かなと考えています。

【育成事業】交通モニタリング事業、気象防災事業、建設テック事業

開発者の技術と営業の目線を掛け合わせる

──本川さんと植村さんは、技術開発者出身ではないのですね。

本川さん:はい、営業畑の人間ですね。私はもともと舶用機器事業部に在籍し、その後システム機器事業部を経て、現在はビジネスラボに所属しています。

植村さん:私は入社後、人事総務部に配属され、その後システム機器事業部で医療機器の営業を担当していました。猟犬向けのGPS製品を扱っていたこともあります。いくつか異動はしましたが、これまで魚や船とは直接関わらない分野を担当してきました。

石野さん:ビジネスラボが立ち上がったのは2024年ですが、それ以前から新規事業創出を強化する取り組み自体はありました。ただ、その中心は技術者でした。本川さんが立ち上げ当初から参加し、植村さんも2025年から加わっています。現在はメンバーの約半数が営業経験者で、これまでとは異なる視点で新規事業に向き合える体制になっています。

本川さん:私たちが加わってからは、「この取り組みは将来的にどこまで続けるのか」「市場はあるのか」といった問いを率直に投げかけるようになったので、結構、嫌われました。石野さんから「そういう発言すると、みんなのモチベーションが下がってしまうからやめてください」とアドバイスをいただきましたね。

石野さん:言い方を少し工夫しませんか? とお願いしたことはありましたね(笑)。

本川さん:嫌われたというのは半分冗談ですが、最初はあまり歓迎されなかったかもしれません。事業化ということを考えると、開発に打ち込んでいる方々に対して、時には厳しいことを伝えなければならない場面があります。「このままでは顧客に提案しづらい」「すでに市場に類似製品が出ている」といった指摘です。聞く側にとっては、がっかりする内容かもしれません。

ただ、私は開発者こそフルノの大切な財産だと考えています。だからこそ、事業化の可能性が低い方向にその力を注ぎ続けるのは惜しい。能力をより活かせる方向へと軌道修正することも必要です。ネガティブに受け取られることがあっても、結果的には開発者の力を最大限に発揮してもらうためのプロセスだと思っています。そのためにも、できるだけ早い段階でリサーチや仮説検証を行い、判断材料を揃えるようにしています。

植村さん:開発者の発表を聞いていると、営業の立場からはどうしても「これは売れるのか」という視点で考えてしまいます。もし開発者自身が、市場性や顧客価値まで含めて説明できるようになれば、経営層にも意義がより伝わるのではないかと思います。ただし、「売れる・売れない」を語るには、仮説や検証データ、根拠が必要です。そこを私たちが調査し、補強し、材料として渡す。それもビジネスラボの重要な役割だと考えています。

個別に対応し、伴走する

──具体的には、ビジネスラボではどのようなサポートを行っているのでしょうか。

植村さん:まずは社員から出てきたさまざまなアイデアの中から、「これは検証する価値がある」「技術的に実現可能だ」と考えられるものを抽出します。そして少人数のチームを組み、仮説検証を進めていきます。メーカーである以上、最終的には「物」を作らなければ顧客に価値を問うことはできません。といっても、いきなり本格的な開発に入るのではなく、まずはペーパーベースでコンセプトを提示したり、簡易な説明資料をもとにヒアリングを行ったりします。その段階で可能性が低いと判断されるものもあります。

一方で「これはいけそうだ」と感じられるものについては、簡易試作を行い、実際に顧客の声を聞きます。そこで一定の手応えが得られれば、育成事業として資金を投入し、事業性をさらに検証していきます。そして将来的に事業部へ移管したり、新しい組織を立ち上げたりと、独り立ちしていく形になります。

石野さん:これまでは、アイデアを出した本人がほぼすべてを担う形でした。私自身も、技術開発から営業、事業開発まで一通りやってきました。ただ、それはやはり負担が大きい。そこでビジネスラボでは、経営層向け資料の作成支援やマーケティング調査など、専門性が求められる部分をサポートしています。挑戦する人が本来の強みに集中できるようにすることが大切だと考えています。

植村さん:新規事業は手間も労力もかかります。それにもかかわらず、十分に評価されないのであれば、開発者の方も「言われたことを着実にこなす仕事のほうがよい」と判断してしまうかもしれません。だからこそ、新規事業への挑戦を正当に評価する仕組みが必要です。評価制度や人事制度の見直しを提案することも、ビジネスラボとして行っていきたいと考えています。

【アイデアを事業へ育てる併走プロセス】仮説検証を重ねながら、アイデアを事業へ育てていく。

──サポートによって事業に育っていった具体例はありますか

本川さん:現在、兵庫県と実証実験を行っている「水上ドローンボート」がその一例です。開発当初は、「どこに売りに行けばよいのか」が明確ではありませんでした。そこで私たちは想定顧客のリストを作成し、電話やオンラインでヒアリングを重ねました。海、河川、ダムなど、さまざまな利用シーンが考えられましたが、たとえば洋上風力発電のような外洋環境では、波が高く使用は難しいことがわかりました。

一方で、ダムや河川、あるいは湾内や港湾といった比較的穏やかな水域であれば活用の可能性が高いと見えてきました。用途を具体的に絞り込めたことで、経営層への説明も説得力を持つようになり、事業としての方向性が明確になってきたと感じています。

フルノの強み「現場種技」を生かす

──新規事業を生み出すうえで、フルノの強みは何でしょうか。

石野さん:アイデアを出すこと自体は、いまの時代、生成AIの進化もあり、以前ほど特別なことではなくなっています。当社の技術と社会課題を洗い出して組み合わせれば、アイデア自体は短時間で生み出せる時代です。つまり、アイデアそのものの希少性は低くなってきているとも言えます。では、どこで差がつくのか。やはり、プロトタイプをいち早く作り、顧客の現場に持ち込み、検証を重ねることだと思います。泥臭いプロセスを、他社よりも速く回せるかどうか。そこに勝機があると感じています。

植村さん:もうひとつの強みは、海外に拠点とネットワークを持っていることです。海外展開のハードルが比較的低いというのは、大きなアドバンテージだと思います。

本川さん:そうですね。世界市場を前提とした構想ができるのも、フルノの強みです。どうしても「まず日本で成功させてから海外へ」という発想になりがちですが、最初からグローバル展開を見据えた事業づくりも支援していきたいと考えています。

石野さん:優秀な技術者が多いことも間違いなく強みです。ただ、現在は、映画制作にたとえるなら、優れた俳優はそろっているけれど、脚本家や監督が十分ではない、という状態に近いかもしれません。技術、営業、ビジネス全体を横断して見渡せる人材が増えていけば、会社はさらに進化していくはずです。その橋渡し役をビジネスラボが担い、将来的には社内に総合プロデューサーのような人材が増えていくといいなと思います。

社内外との連携で新規事業を生みだしていく

──ビジネスラボは今後、どのようなところに力を入れていきたいですか?

本川さん:社内に対しては、部門をつなぐ役割をこれまで以上に果たしていきたいと考えています。フルノには、システム機器事業部、舶用機器事業部、研究所など、さまざまな部門があります。それぞれが専門性を持って活動していますが、必ずしも十分に横断的な連携が取れているとは限りません。

ビジネスラボは、各部門の意見や経験を集約し、開発者へフィードバックしたり、営業の現場からヒントを得て開発に生かしたりすることができます。たとえば、営業部門の顧客接点を活用し、市場のリアルな声を拾い上げることも可能です。そうしたつなぐ役割を、これからも強化していきたいと思っています。

また、経営層との橋渡しも重要な役割です。新規事業に挑戦する人たちの思いを経営に伝え、必要な支援を引き出す。その調整役を担うのがビジネスラボです。情熱だけでも、技術だけでも、資金やリソースだけでも、新規事業は成功しません。その3つが同じ方向を向いたとき、初めて大きな可能性が生まれる。その間に立つのが、私たちの役割だと思っています。

植村さん:新規事業でやるべきことは、世の中の役に⽴つ「本当に良いもの」をつくることです。社会に価値を提供できる製品であれば、⾃然と売りやすくなります。社会のニーズを見極めてアイデアの選択と集中を行い、当社の強みを活かした事業を早く実現していきたいですね。

──社内の方に特にどんなことを伝えたいですか?

石野さん:自分が考えたことが、新たな事業として社会に出ていく。それは本当に得がたい経験です。私も、最初のお客様に製品を購入していただいたときの喜びは忘れられません。苦労を重ねて形にした技術が、「これを求めていた」と言ってもらえる。その瞬間は、技術者冥利に尽きます。

だからこそ、技術者の皆さんにもぜひその経験をしてほしいと思っています。ビジネスラボは、頭の中だけで議論する集団ではありません。現場に足を運び、泥臭く検証を重ねる集団です。新規事業に一人で挑戦するのは大変ですが、チームであれば挑戦できます。社内の皆さんには、ぜひチャレンジしてほしいと思います。

──社外の方に向けてもメッセージをお願いします。

植村さん:実は、ビジネスラボが取り組んでいるのは、社内の新規事業だけではありません。社外との連携も積極的に進めています。フルノには舶用機器分野で長年築いてきた販売ルートや市場でのブランドがあります。もし、海に関わる新規事業を構想している企業があれば、ぜひ声をかけていただきたいと思っています。舶用分野で新規事業を検討している外部パートナーの方々がいらっしゃったら、ビジネスラボにご相談ください。

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